レコーディングエンジニアの仕事ブログ

レコーディングの事、音楽の事、DAW.DTMの事など適当に書きます

気になる商品:部屋の反響を抑えてクリアーな音質に録音できる Eyeball

マイクを立てて録音をする時に必ず付きまとう問題
それが部屋の反響・残響だ。

ルームアコースティックと言ってギターやピアノなどの生楽器では程よい反響はむしろ良い音になってくれる時もあるのだけれど
近代的な音、つまり響きの無いデッドサウンドを得ようとすると反射音は非常にやっかいな存在です。
特にボーカル。

EQやゲートを駆使しても完全な除去は出来ないし
音自体がぼやけたり遠くなったり薄く聞こえるから困ります。

で、最近はリフレクションフィルターなるものが各社から発売されていて
こいつの売り文句は「反響音の軽減」
しかし実際使ってみるといまいち効果が感じられなかったり 逆にマイクの音に変な位相狂いがおきて低音が無くなったり、音抜けが悪くなったりなんていう事もしばしば。

「やっぱりちゃんとした防音と吸音されたブースで録音するしかないか・・」
と最終的にもとの思考に戻るのです。

しかし ボーカルブースといっても様々で
小規模のスタジオやプロダクションスタジオにはヤマハのアビテックスの3畳タイプとかが導入されているのですが
アビテックスは楽器練習用ブースなので実は結構反射があります。
一生懸命スポンジとかを張ってもなかなか上手くいかない事も多いでしょう。
特に声量のある歌手の場合は響きも大きく入ってしまう傾向にあります。

さて 長くなりましたが最近この反響音対策に良さそうな商品が発売されました。

KAOTICA Eyeball

これはポップガードの役割もあり、さらに反響音の混入を抑えるだけでなく 音の集音率の向上も見込めるそうで
文章だけを見ると何やらものすごい良さそうです。

しかもリフレクションフィルターの最大の欠点だった
大きさ、重さが解消されているので 個人持ちでスタジオに持参するというような使い方も出来そうです。
またリフレクションフィルターでは譜面台を前に置くことが出来ずに歌詞や原稿などを見るのが困難ですがこの問題もクリアーしそうです。

かなり気になる商品です。
サイドアドレス型コンデンサーマイクにのみ対応しているようですが
楽器にも使ってみたいですね。
ギターとかタンバリンとかによさそうですね。



偉大なる音楽プロデューサー 佐久間正英さんの事

2014年1月16日 
音楽プロデューサーの佐久間正英さんが亡くなった。

その事はTwitterで知った。

佐久間さんが癌で闘病中であった事は知っていたし
最近の活動のことも少し気にしてチェックするようにはしていた。

佐久間さんがどんなにすごい仕事をしてきたかなどは私がここで書くまでも無い。

私は特に佐久間さんと親しかったとか、よく一緒に仕事をしたというわけではないが少なからず接点はあった。

今回は少し私が感じた佐久間さんの プロデュース というものについて書こうと思う。


1998年某日
私がアシスタントエンジニアとして佐久間さんと仕事をしたのは これが最初だった。
くるり デビュー曲「東京」のレコーディングだった。

録音スタジオは今は無き河口湖スタジオ。
レコーディングエンジニアはトム・デュラック。

このレコーディングで一番印象的だったのは佐久間さんのディレクションだった。

リズム録りの時に岸田君がギターを弾きながら歌った仮歌
この仮歌がすごく良かったのだ。

もちろん荒い部分はある、後で歌だけダビングをし、何度かトライしてみたのだが結局、仮歌が本採用となった。
最終OKを出したのは、もちろん佐久間さんだ。

多少荒くてもいい感じ という感覚を大事にし、またそのニュアンスをスタッフで共有する事を佐久間さんは大事にしていた。

この いい感じ というのは音楽ではすごく大切でどんなものなのかは言葉には表すことはできないと思う。

こういったニュアンスを大事にする佐久間さんのスタイルや意思は、くるりが今でもしっかり受け継いでいると思う。

つまり何が言いたいかというと
それまでの私が目にした音楽プロデューサーという人たちは
アレンジャーだったり、アーティストの場合が多かった。

誤解を恐れずに書くと
誰かの作品を模倣する か 自分色に染める かのどちらかだった。
酷いものだとスタジオミュージシャンの演奏をお手本にギターソロまでバンドに完コピさせるなんていう"プロデュース"もあったほどだ。

そんな中、くるり以外での仕事でも佐久間さんのプロデュースは違った。

まずは本人のやりたいようにやらせてみて、行き詰ったり問題が出た時に解決策やアイデアを提示する、助け舟を出す。
その結果アーティストやバンドの良いところを輝かせる結果に繋がっていく。

そう、つまりは親の立場とおなじだ。

バンドやアーティストの成長を促し 究極は佐久間さん不在でも作品を作っていけるような指導をする。
佐久間さんのプロデュースはそんなスタイルだった。

また近年は 音楽制作のスタイルの変化に危惧を感じ
本当の楽器の音や機材の音、録音とは何か?といった次の世代へ伝えたい事をレクチャーするような活動を行っていた。

今考えると私の仕事についての考え方やスタイルに佐久間さんの影響があるなあ と感じる。

佐久間さんがこの世からいなくなってしまった事は悲しい事だと思うけれど
きっと佐久間さんの意思やスタイルは多くのバンドやミュージシャン、アーティスト、スタッフに受け継がれているはずだ。
もちろん多くの音楽作品にも刻まれている。

私も今後の人生できっと佐久間さんの意思を感じる事があるだろう。
すこし迷いそうになったときに佐久間さんの仕事を思い出してみたいと思う。


最後に ありきたりの言葉ですが
佐久間さん ほんの少しでしたがあなたの仕事を拝見できて本当に良かったと思います。
ありがとうございました。

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ついに・・あのAuto-Tune搭載プリアンプがお手ごろ価格で登場

ボーカルのピッチ修正といえばAntaresのAuto-Tune

なんと そのピッチ修正機能を搭載したマイクプリアンプがARTより発売されます。

http://www.electroharmonix.co.jp/art/img/autotunepre.jpg

ART Auto-Tune Pre
Antares Auto-Tune搭載真空管プリアンプ

今までもラックタイプのTASCAM-TA-1VPなどが存在しましたがこのような小型・低価格マイクプリに搭載されるのは初めてかもしれません。

どんな使用方を想定しているかといえば ずばり ライブ でしょう。

今まではがんばってCD音源の歌のピッチは修正できても ライブの歌は簡単ではありませんでした。
まれにProToolsHDを持ち込んでリアルタイムでピッチ修正をしている方もいらっしゃるようですが
これがあればインディーズでもアマチュアでもライブでピッチ修正した状態で歌が歌える!
という事です。

マイクプリなのでSM58などのダイナミックマイクでも使え、ソフトの最大のネックである音の遅延もなく使用できます。
また操作も非常に簡潔です。
使うキーのボタンを押すだけ。

他には最近の"歌ってみた"などの録音にも使われる事でしょう。
今まではMIX師なるミックスダウンをする人がせっせとピッチ修正をしていたのですが
その手間を省く、又は軽減する事が出来る時代になる という事です。

きっとこれがヒットすると他のメーカーも同じようなの出してくるんでしょうね。

さあ
ライブで音程が甘くて恥ずかしいと思っているみなさん
これ どうですか?

わたし的にはなんともコメントしにくいです。



音楽制作便利グッズ紹介

普段は気にしていないけど 無いと不便だと思う便利グッズを紹介します。

今回は特にマスタリング後など CDやDVDを書き込む時の便利グッズです。



・CDディスペンサー

バルクで買ったCDやDVDをまとめて上に載せて 必要な時はワンプッシュで取り出せるというもの






・ディスクスタンドおく蔵

書き込み終わったディスクを置くのに記録面へのほこり付着や傷などを気にして
上向きにテーブルなどにおいていませんか?
これがあれば記録面を触らずに浮かして置くことが出来ます。
ラベル印刷の待ち時間の一時置き場などで重宝するでしょう。
ちなみにマグネット式なのでスチールラックなどにもくっつきますし
1枚なら90度傾けてもディスクが落ちない構造になってます。




・ブロアー

カメラレンズなどのホコリ取りに使われるものです。
強力な空気でCDやDVD記録面についたホコリを吹き飛ばばします。
意外と空気中にはホコリが舞っています。
ドライブに入れる直前に ちょっと確認して小さな点が見えたらこれで綺麗にしましょう。
100円ショップなどでも売っていますが空気の勢いがいまいちなのでちゃんとした物の方をおすすめします。
こんなもの買い換えないので一生物になるかもしれません。



・CD-R用ペン


CD-Rレーベルに直接マジックなどで文字を書くことはお勧めしませんが
保存用や何か書く必要があるときには専用ペンを使いましょう。
普通の油性マジックですと侵食されてしまう可能があるのですがこういった専用のものは特別なインクを使っているので記録面へ影響が出ないようになっています。


色々と紹介しましたが
無くてもいいけど あると便利
そんな物の紹介でした。

ドラム・ルーム用マイクは?

今回はドラムのルームマイクを紹介します。
ルーム 又は アンビエンス(略してアンビ)、オフマイク、エアーマイクなど様々な呼ばれ方をします。
一般的に部屋のナチュラルな響きやリアルっぽさ、ワイド感を調整するために録音されます。

狭いブースにドラムを入れる場合はデッド(響きの無い状態)を求めているのですが、ルームマイクの類も一応立てるのが一般的です。

ルームマイクに求める条件は幾つかあるのですが

まず、指向性変更が出来る事。
通常は単一指向性で使う場合が多いですが、無指向に出来るものが使用される事が多いと思います。

代表格は今まで何度も出てきましたが
ノイマン U87シリーズ

単一、無指向、双指向と3種切り替えがあるマイクですので様々な用途で活躍します。
先に書いた私の場合、ブースでドラムを録音する場合は87を無指向にしてドラマー後ろとか正面などに配置して自然な空気感を録音します。


同じような用途で登場するのが
audio-technica AT-4050

RODE NT2A

などです。


ロック系で硬質なアンビエントが欲しい時にはSHURE SM57なども使用します。


他にもリボンマイクなども使用される事があります。
特にJAZZやロックで70年代っぽいドラムサウンドが欲しい時にはリボンマイクが活躍するでしょう。

リボンマイクといえば、高いですが定番のRCA 44DX & 77DX

最近は低価格帯のものもちらほら見かけます。

 他には
ダミーヘッド もかなり優秀です。
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特徴は耳で聞いた音に近く、距離感も近めに感じます。
リアルさという事を求めた場合はこのマイクにかなうものは今のところありません。
デメリットは顔みたいなので 気なる という事でしょうか?
高いマイクでスタジオにもない場合が多く 使用するときにはレンタルする事が多いでしょう。

参考にしてみて下さい

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お勧めの本を紹介します

音楽をやっている人に是非読んでいただきたい本をいくつか紹介します。
一見関係ないようなものの中にも身になるヒントが隠れています。

まずはこれ

経営戦略なんて必要ない
そう思っていませんか?
音楽を職業としていくなかで感覚やセンスだけでやっていけるのは一部の天才だけだと私は思います。
ミュージシャンでも作曲家でもエンジニアでも職業である以上 同じステージで仕事を奪い合う事が普通です。
これは業界でいうところのシェア争いです。
そんな簡単な事からイノベーションについてなど基礎的な知識や考え方がわかります。
必ず仕事のヒントになる事があるでしょう。



本田宗一郎 俺の考え

ご存知ホンダの創業者 本田宗一郎 自身の言葉が本になっています。
私の尊敬する一人でもあります。
先ほどの経営戦略の本とは間逆の内容です。
仕事とは何か?人生とは何か?自分が生きていく糧は何か?
仕事で悩んだとき、重要な人生の選択を迫られたとき、現状を打破したい時
きっと背中を押してくれるでしょう。


Rock Names ABBAからZZトップまで

93年出版と少し古い本ですがバンド名の由来を中心に掲載されています。
70年代はもう40年も前の話になってしまいました。
10代の若者にははるか昔の事のように感じる事でしょう。
昔の音楽だけが素晴らしいわけではありません。
しかし素晴らしい音楽に時代は関係ありません。
現代のロック・ポップスを理解するうえでもメジャーなロックバンドを知っておくことをお勧めします。
気になったバンドや歌手はYOUTUBEでチェックしてみてください。
ロックが輝いていた素晴らしい時代の入門に、違った角度から興味をもっていただければ幸いです。