レコーディングエンジニアの仕事ブログ

レコーディングの事、音楽の事、DAW.DTMの事など適当に書きます

オーバーヘッドの録音に使うマイクは?

今回はドラムのオーバーヘッド(以下O/Hと表記)の使うマイクの紹介です。

一般的にシンバルを中心にキット全体を録音するマイクポジションを指しますが
他にもトップ(TOP)とかシンバル(Cymbal)など人によって呼び方は様々です。


まずは 代表選手
AKG 414シリーズ

O/Hマイクといえば これです。
414といっても現行モデルのXLSやXL2 から 少し前のULS、昔のEBなど沢山種類があるのですが
スタジオであるもので大丈夫というくらい信頼感のあるシリーズです。
414はピアノの定番マイクでもある事でわかりますが 低音から高音までしっかりと録音できます。
そして特徴は キャラクターが無い という事。
変な高音のピークや低音の強調感がないので実に自然なシンバルサウンドが録音できます。



AKG 451シリーズ

同じくAKGから451シリーズです。
451も414と同じく現行機種451Bと昔のEBなどがあるのですが 個人的にはPADやフィルターが既に付いている451Bのほうが使いやすいと思います。
451を使うときには414の時よりもシンバル寄りに使う場合が多いように思います。
つまり414はキット全体の録音という感じで451は、より"シンバルだけ"を録音する時に用いる という事になります。
場合によってはライドなどにも別でマイクを立てることもあるので こういったときにも451が使われる事が多いです。



・NEUMANN ノイマン U87Ai

U87もO/Hマイクの定番です。
414と比べると派手でパワー感がある音 と言いますか、強いキャラクターがあります。


と 商業スタジオでは大体が 414か451か87 の3種類しか使われていないような状況です。

ハイファイ系のジャズやフュージョン、クラシック系の録音にはDPA(旧B&K)も使うことがあります。


ドラム録音用にコンデンサーマイクが2本欲しい という場合は上記定番3機種を模倣している、または同じタイプのマイクを選ぶのが良いかと思います。


AKG C414シリーズの場合

同じAKGの廉価版 C214

audio-technica AT-4040



AKG C451の場合
AKG C430

RODE NT5、MXL603、など



NEUMANN U87Aiの場合
RODE NT2A

MXL V67

など ボーカルに使われるマイク類

参考にしてみて下さい

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タム用のマイクは?

今回はタム、正式にはタムタム(TOM TOM)

タムには大きいのから小さいのまであって
人によってはフロアタムだけ2つあったり
フロアタム1個だけだったり 

またまたメタル系ではタムが全部で6個もならぶなど実に様々なのですが

オーソドックスな2タムワンフロアーという3タムの場合で話を進めます。

 

一番オーソドックスなマイクは
ゼンハイザーMD421(無印OLD+現行マーク2)



今も昔もほとんどのタムはこれが使われています。
音色はアタック音から低音までしっかりと録音できる421の特徴が まさにタムにぴったりなのです。
広く使われている理由はスタジオに数が揃っているマイクというのが57か421になるためだと思います。
基本的にタム群には同じマイクを使用するので数がある という事は結構重要かもしれません。
デメリットをあげるとすれば割と長いのでマイキングした時にプレイの邪魔になる場合がある という程度です。

 

AKG D112

 



私は最近では421よりも使用率の高いのがD112です。
理由は「音が好き」だからです。
421と比べるとゴムのような弾力のある音と表現しますが
タムのおいしい胴鳴りがはっきりと録音できるところが気にっています。
また、形がタムにマイキングしやすく邪魔にならない という事も選んでいるポイントです。
ただ最近はD112の本数が少ないスタジオも多いのでその時はハイタムに421を使ったりと対応しています。

 

 

audio-technica ATM25

 



これもタムに使うことがあるマイクです。
アタック音が強いのでBPMの速い曲などに最適です。

このマイクも数が揃わない事がおおくやはり421やD12と組み合わせて使う事もあります。

と みていくとバスドラムに使われるマイクと酷似している事がわかりますね。

マイクに数が無い場合はSM57や58を使う事もありますので
421とかD112じゃないとダメ!なんて事はありません。
個人で録音に挑戦する場合はやはり58が多くなるでしょうがフロアタムだけここで紹介したマイクを使ってみると違ってくるかもしれません。

また最近ではタムに直接取り付けられるブラケットタイプのマイクもあります。
狭いスタジオやブースではスタンドが立てにくい時もあるのでそんな時は重宝します。

 

次回はオーバーヘッドのマイクについて書きます。

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おわり

 

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ハイハット用のマイクは?

今回のお題はハイハット(HAT H.H)

ハイハットの録音に使われるマイクを紹介していきます。

まずハイハットへのマイキングですがどちらかというと
"補助"という意味合いが強いように思います。

前回まで書いたキックやスネアのように必ずメインで使うという事がない場面が多々あります。
スネアマイクへのかぶりやオーバーヘッドマイクへ十分にハイハットが入るのでこれで足りる・・
というよりもむしろ大きいという事があるくらいです。

特にアマチュアバンドのドラムの場合はプロの方と比べるとハイハットの音が大きい事が多いので
マイクの本数や録音チャンネルに余裕がなければ省略してもよいかもしれません。

 

さて、代表的なマイクはこの2機種です。

AKG C451

 

 

そして SHURE SM57



ほとんどがこの2本で録音されているといっても過言ではありません。
理由は幾つかあるのですが、先に記述したように あまり重要なマイクではないからそんなに凝らない という事がひとつ。
もうひとつはコンデンサーマイクダイナミックマイクかの2択で選ぶ場合に
取り回しの良いペンシ型が使いやすいから
という事です。

スタジオに置いてあるペンシル型マイクはそんなに多くないので自然と451を選ぶことが多いというくらいです。

この2本は音色で使い分けます。

コンデンサーはキメが細かく粒が出るのでバラードや繊細なサウンドが欲しい時。
ダイナミックはロックなど荒々しくスピード感や音の迫力が欲しい時。

といった感じです。
音を聞けばわかりますが ピッチがちがって聞こえるくらい高音の雰囲気が変わります。
451ではロックっぽさは出ないし57では繊細さが出ない
これをふまえてマイクのチョイスを行ないましょう。

 

451が無い場合は他のコンデンサーマイクでも代用できます。

ペンシル型の方がマイキングはしやすいですがなければサイドアドレス型でも良いでしょう。

 



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スネアの録音に使うマイクは?

タム用のマイクは?

 

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スネアの録音に使うマイクは?

今回のお題はスネアドラム(SN,SNa,SD)

さてスネアによく使われるマイクとその特徴を紹介していきます。

まずは 定番中の定番、居酒屋ならまずはビール といった感じの・・

SHURE SM57 (シュアー)
ゴーナナ の愛称でおなじみダイナミックマイクの定番です。


もともとSM58がボーカル用に作られているのでこいつも同じような音がします。
スネアはボーカルと非常に近い音域なので何もしなくても良く聞くスネアサウンドが得られます。
58と同じく近接効果を考慮した設計なのでかなりオン気味に使うのがノーマルです。

 

 

AKG C451B(アカゲ)


ペンシル型コンデンサーマイクの大定番C451昔の機種はPADを入れるのにアタッチメントをかます必要がありましたが
現行モデルの451BではスイッチでPADが入ります。
スネアに使う時にはロック・ポップス系なら-20dBにしておくのが安全でしょう。

音色は強いアタック感が得られます。
昔からSM57と並べてたててブレンドするという方法が多いように思います。
コンデンサーマイクを使うとアタック感が強いのでリムショットの音なども綺麗に録音できます。


AKG 414シリーズ

 

もういっこAKGから414シリーズ。
ジャンル的にはジャズなどブラシメインの場合などに使用される事が多いマイクです。
最近では単一指向性固定のC214もあるのでそれでも同じような音色が得られるでしょう。





■その他
現行機種ではゼンハイザーMD421も使われます。

またドラマーのセッティングの都合でマイクが入る隙間がない・・・という事も多々あるのですが
そういった場合はクリップ型のマイクなどを使う場合もあります。
絶版ですがSONYのC55Pというマイクはペンシル型なのですがダイヤフラムが90度回転するので狭い場所へのマイキングには重宝します。
通常はSM57でもっと鋭いアタックが欲しい時はC451を足す というのが多いように思います。

ペンシル型コンデンサーマイクはあると便利なのでAKG以外でも色々ありますから参考にしてみて下さい。

スネアに使う場合はPADがあるものをお勧めします。

追記

スネアにはスナッピーの音を録音するために下にもマイクを立てます。
このマイクはかなり補助的な意味合いが強く、ミックス時に使わなかったりする場合もあり
重要度は低いので通常SM57かSM58を使います。
実はあまり気にせず変なマイクでなければ適当でいいや くらいの気持ちです。

参考までに



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青山純さんの事

2013年12月3日

ドラマーの青山純さんがお亡くなりになりました。
心からご冥福をお祈りします。

 

青山純さんのことを少し書こうと思います。
私がアシスタントエンジニアを始めた頃は、もう既に青山純さんはトップクラスのスタジオミュージシャンとして活躍されていました。

ジーパンにTシャツという服装が多い中青山さんは白いシャツを着ていることが多く他のミュージシャンよりもシュッとしてカッコよかったです。 

プレイに関しては機械のような正確なドラミング まるでリズムマシーンのようだ という印象でした。

青山さんはサウンドとプレイにはこだわっていて
レコーディング本番前のサウンドチェックは必ずコントロールルームで確認し
録音後のOKテイクも同じくコントロールルームでチェックしていた記憶があります。

人によってはドラムに座ったままヘッドフォンで聞く人もいましたが青山さんはコントロールルームで聞く という事を徹底していた印象でした。

 

しかしある時 サウンドチェックもせず本番に入り、録音後もプレイバックも聞かずにドラムを片付けてさっさと帰った時があったのです。
その時はあるアニメの録音で、エンジニアはメーカーの社員が来ておりえらそうに言わせてもらうと
生ドラムを録音した事がないのか?というくらいよろしくなかった記憶があります。

おそらくですが青山さんは相当気分が悪かったのではないか?と思います。

 

もうひとつの印象的な仕事がありました。
あるバンド系の録音でサポートとして呼ばれた青山さんは いつものクールで淡々とした印象ではなく

「ここ もっとこんなのにしていい?」とか「君のベース聞いてると楽しくなってくるよ」など
普段のスタジオミュージシャンの雰囲気とまたく違った楽しそうな演奏をしたのを思い出します。

すごく生き生きとした 最初の印象に書いた機械的で正確 というのとは違う
ロックバンドのドラマーという雰囲気でした。

まるでバンドのメンバーになったかのような そんないつもと違う青山さんが印象に残っています。

 

ドラムという楽器は大きな役割を担っています。
昨今のドラム音源の進化は素晴らしいものですが やはり人間が叩くドラムには代えがたい良さがあると私は思っています。

CDのクレジット欄など目にしたことの無い人たちも是非誰がプレイしているのか見てみて下さい。

きっと青山純さんの名前が刻まれたCDがあるはずです。

日本の音楽界の宝をまたひとり失ってしまいました。

 

 

 

バスドラム用のマイクは?

どの楽器にどんなマイクを使えばいいのか?
という疑問を持っている人は多いはずです。

少しづつですが楽器別のマイクの違いによる音色の特徴、使い方など書いていこうと思います。

 

今回のお題はバスドラム(BD,KICK)

ドラムサウンドの中核を担う非常に重要な楽器です。
バスドラムによく使われるマイクを紹介していきます。

 

ゼンハイザー SENNHEISER MD421-II(MD421オリジナル)

 

 



通称くじらと呼ばれると色々なところで書いてあるのを見ますが、今はほぼ421(よんにーいち)と呼ばれています。
BDの中に入れるオンマイクや少しオフ気味でもアタック音から低音までしっかりと録音してくれる優れもの。
無印の421よりも現行機種のマーク2の方がドンシャリ気味です。
タイトなロックからポップスまで幅広く対応でき、汎用性が一番高いマイクと言えるのではないでしょうか? 私は421大好きです。



audio-technica オーディオテクニカ ATM25

 

 

 



日本が誇るマイクメーカー オーディオテクニカの低音楽器用マイクです。
音色はややアタックが強く、タイトな傾向です。
少しEQくさい音ではありますがハードロックやメタルなど早くてアクセントの強い音が欲しい時に重宝します。
マイク本体も小さいので狭い場所へのマイキングなどでも使い勝手が良いです。

 

 

AKG D112

 

AKG 低音も歪まずクリアに再現するバスドラム用ダイナミック型マイクロホン D112

AKG 低音も歪まずクリアに再現するバスドラム用ダイナミック型マイクロホン D112

 

 

 

通称タマゴ。AKGダイナミックマイクの傑作D12の後継機となります。
このマイクの音色はドンシャリです。
ドンシャリと言っても不快な人工的な音ではなくスムーズなドンシャリ
高音から低音まで実にふくよかに収録できます。
難点をあげるとすれば形の都合上キックのホールが小さいと入らなかったり
中に入っても自由にマイキングが出来ない事があげられます。
この形はD12スタイルでなくても良かったように思います。

 




SHURE シュアー BETA52A

 

シュアーの低音楽器用マイクです。
これは実に特徴的な音がします。
50Hz付近の超低音まで"出すぎる"と思えるほどしっかりと録音できるので
ちょっと大きなスピーカーで聞くとその異様とも思える地鳴りのような低音に驚く事でしょう。
私はこのマイクはサブとして使います。
昔はフロント部分にノイマンの47FETなどを使っていましたが
ボフ・・ヴォ!という超低音のみを狙ったマイキングでは今はこれが最適だと思います。
例えばメインで421を使って外側に52を立てる という使い方です。

 

 

 

EV エレクトロボイス RE-20

Electro-Voice RE20 ダイナミックマイクロホン

Electro-Voice RE20 ダイナミックマイクロホン

 

 


昔は赤坂マイクなんて呼ばれていた時代もありますRE-20です。
RE-20は形からもわかるように少し指向性が強いです。
音色は太くドライな印象ですので70年代ロックサウンド、JAZZなどには最適でしょう。
最近ではRE-20を置いていないスタジオが増えてきてしまいましたが非常に優秀で魅力のあるマイクだと思います。

 

定番機種を取り上げてみましたが最近は各メーカーシリーズ違いで手の届きやすい金額帯の製品も出てきています。

ただ長く使うのであれば長年スタジオで定番として使われている421やD112あたりを買うというのが良いのかも知れません。

逆にスタジオには置いていない機種を個人で買って試すという楽しみもあるでしょう。

マイクを購入する際の参考になれば幸いです。

 

次回はスネアを取り上げようと思います。
スネアの録音に使うマイク紹介

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おわり

 

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ミックスダウンレッスン若干の空きがあります

現在日曜日を中心に幡ヶ谷、新高円寺で行っているミックスダウン&マスタリングレッスンに若干の空きがあります。

 

午後~夜帯にかけてレッスン可能です。

 

料金など詳しくは

mix-lesson.blogspot.jp

をご覧ください。