レコーディングエンジニアの仕事ブログ

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オーディション商法についての問題点

甘い言葉に潜む罠:ボーカルオーディション商法の問題点

 

近年、歌手デビューや声優などを夢見る若者を狙ったボーカルオーディション商法がSNS広告を中心に目につくようになっています。
オーディションを名目に誘い出し、多くの参加者の中から選ばれたと喜ばせて高額なレッスン料や契約金を支払わせる手口が後を絶ちません。

 


1 巧妙化する手口の例
以前はスカウトや勧誘を行っていたレッスン商法などと呼ばれていたものは東京都では条例が制定され現在禁止されています。

ですのでオーディションという手法で"勧誘ではなく自ら応募した"という事にする事で条例違反を回避していると思われます。

この場合、クーリングオフの対象外になります。(通信販売と同じ理由)

またレッスンが目的ではなく、あくまでもプロデュースを依頼する契約の費用(レッスンはその中のいちぶ)という名目で高額な契約金を提示してきます。

 

・オーディションをすることの心理的効果

名目上のオーディションをすることで条例違反対策とクーリングオフ対象外になるだけでなく心理的にも ”選ばれた” ”才能を認めてもらった” など

多くの人の中から自分が選ばれたという特別感を与えることができます。
さらにこういうオーディションに応募する人たちは歌手や声優になりたいという夢を親や友人など周りに否定されてきたり、容姿が悪い、実力がない、など批判的な意見を多く受けてきた人も多いと思いますので
その反動もあり”やっと自分を認めてくる人たちが現れた”と妄信的になってしまう場合も多くあると考えられます。

 

多くみられるオーディション商法は以下のような手法がみられます。

ひとつづく説明してみます。

 

・「全国デビューできる」というような話をする

全国デビューとは何か?謎ですよね。
メジャーレコード会社からデビューなんかできるわけないので、ここで言うデビューとはインディーズで音楽配信されるという意味で使われると思います。

CDの場合は全国流通=カタログに載る なので注文すれば取り寄せができるだけ(または通販で全国で買える)。

配信の場合はApple MusicやSpotifyなど主要サービスで配信される。

このどちらも今は個人で簡単にできます。配信に関しては無料でも可能です。

主要配信代行サービス(ディストリビューター

TuneCore Japan - あなたの音楽でセカイを紡ぐ

BIG UP!

CRIMSON MUSIC | クリムゾンテクノロジー株式会社

ミュージシャンが世界で音楽を売るサービス「ROUTER.FM(ルーター)」

 

声優オーディションの場合はボイスドラマに参加できるなどありますが、同人でもいくらでも作れるものを特典にしている事に何か意味があるか考えてみましょう。



・高額なレッスン料や登録料を請求 、長期契約と高額な違約金も

1曲プロデュースで80~100万円程度が相場のようです。

お金がない場合はカードローンなんかも紹介してくれるそうです。(金額は無審査ローンの限度額あたりを設定しているように思えます)

学生で資金が無い場合は1曲で終わりというパターンがあると思いますが、昔歌手を夢見ていた中高年もターゲットにされているので資金がある場合は妄信的にのめり込んでしまい2曲、3曲と、気がつけばかなりの金額を吸い取られる事もあります。

また、契約に守秘義務として契約内容や金額などを外部に漏らしてはいけないという条件を設けている場合もあり、どのような状態にあるのか家族にも相談もできない悪質なケースもあるようです。

作曲を依頼したければココナラをはじめSNSでもクリエイターが数万円程度で依頼を請けています。
作詞作曲+アレンジ+ボーカル録音+ミックス・マスタリングで10万円くらいから作れると思います。
支払った100万円のうち作曲家に行くのはいくらなのでしょうか?
【全国展開している某大手オーディションビジネスでは オリコンに入るくらいの有名作曲家へ 全て込みの報酬(1曲完パケ)で5万円を提示しされて断ったと聞きました。
レコーディングスタジオ・オーナーからは "ボーカル録音+ピッチ修正+ミックス(修正が何回かあるかも)で2万円で提携しないか?" と連絡があり、同じく断ったという話も聞いています】


・主催者の情報が不明確

オーディションを行っているのはイベント会社や代理店だったりして実際に契約をする会社が不明確な場合が見受けられます。

WEBに記載があっても一番下まで行って小さな文字をクリックして、さらに概要を見ないと見れなかったりしていてまずトップページには書かれていません。

つまりは会社概要を見られたくないという意図があるのだと思います。

 


・少しでも怪しいと感じたらきっぱりと断る
怪しいと思ったらすぐに消費生活センターや弁護士に相談する、消費者ホットライン「188」も利用できます。

とはいえ先記述したように法的に問題の出ないように顧問弁護士をつけて入念に各種条件を作り込んできているので、相談はお金を払う前にすることを忘れないでください。
夢を追いかけることは大切ですが、悪質な商法には十分注意し、被害に遭わないように冷静な判断を心がけましょう。

 

注意:怪しいと思った時にSNSなどに「〇〇オーディションは詐欺」というような事を書いてしまうと威力業務妨害や誹謗中傷などで逆に訴えられてしまうことも考えられるので 詐欺 とか 違法・犯罪 など発信するのは危険です。
脱法行為のようなグレーなビジネスではありますが現時点で違法行為ではありません。

 

 

最後に

「悪魔は天使の姿で現れる」という言葉が昔からあります。

今まで自分の夢をバカにされてきた、そんなの無理だと否定されてきた
歌手になるなんて見た目が良くないとダメだと馬鹿にされた、

カラオケで褒められるけど年齢的にもプロにはなれないかも

 

様々な背景があるでしょうが、そこにつけ込んでくるのが夢を搾取するビジネスです。

才能がある、磨けば光る、一緒に頑張っていきましょう

優しくしてくれるのはお金がほしいからです。

商売というものはそういうものです。

特に昨今、音楽業界は長く下り坂で昔はメジャーアーティストの曲を書いていた人でも今では全然ヒットがなく生活が苦しい人も沢山います。

有名だから安心ではありません。

 

歌手活動したいならYOUTUBEでもインスタ配信でもいくらでも自分でできる時代です。

お金で買えるものもありますが 売れるとか有名になるとかはお金では買えません。

いままで活動していなかったらなおさら難しい事です。

まずは自分のできる範囲から活動していくのがよいと思います。

 

オーディション商法についての問題点について でした。

 

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