レコーディングエンジニアの仕事ブログ

レコーディングの事、音楽の事、DAW.DTMの事など適当に書きます

CDが売れない理由を考えてみる 3

前回まではCDが今どの位の売れ行きなのか、などを書きました。
今回は「音楽志向の細分化」について詳しく書きたいとおもいます。


■音楽志向の細分化」
細分化とは趣味思考が個人によって違うのは当たり前ですが、それがより顕著に売り上げに現れて来ていると思われます。
一昔前は新譜や流行の発信媒体はテレビ・ラジオ・雑誌というメディアしかなく、結果広告代理店にお金を出し、より多く、派手に宣伝する事が売り上げ=人気に繋がっていました。
しかし現在は情報の発信メディアもインターネットに偏りつつあり(理由は様々ですが一方的でないという事が一番の利点かもしれません)テレビCMからのヒット曲やドラマ主題歌のヒットなどは殆どみられません。
テレビCMで沢山流れる曲も"売れている"のではなく"売りたいだけ"なのです。
そういった大人の事情をみんな知ってしまいました。
中学生でも電通・博報堂といった大手代理店の名前を知っている時代です。

雑誌媒体にいたってはもはや瀕死の状態です。
同じスポンサーのCM主体でも無料のテレビと有料の雑誌とでは大きく違うのでしょう。
ぴあの実質廃刊ニュースなどが記憶に新しいですね。


■ではなぜ音楽志向の細分化が売り上げ低迷に繋がるのかというと、昔のようなミリオンセースルが出ないという事が一番大きいのです。

例えば宇多田ヒカルがアルバム500万枚を売るのと
500組のアーティストが1万枚売れるのとでは売り上げ金額は同じですがコストが全く違いますよね?
こういう事を考えると一握りの売れているアーティストのお金でそのほかのアーティストのCD制作費や社員の給料を出しているのがレコード会社の構造です。
B'z、サザン、ミスチル、EXILEなどが会社を背負っているアーティストの代表格ではないでしょうか?
(ソニーに関しては昔の音楽的財産が多いので他のレコード会社とは少し違うかもしれません)

さらにいうとレコード会社、出版会社の組織が大きくなりすぎて今までの状態で維持する事自体が無謀だという考えもあります。

音楽はiPodで聞くという事が常識化して学校でも友達がどんな音楽を聴いているかなんて知らない、家庭ではなおさら、娘がどんな音楽を聴いているかなんて知っている親は皆無でしょう。
そういったパーソナル化が進む事と細分化は大きく関係していると思います。

90年代の大ヒットはカラオケの練習の為の購買である割合が多く、カラオケで歌うためにCDを買って(借りて)練習する という事が今はYOUTUBEで事足ります。

買う音楽の用途や重要性が違ってきている現在は売り方や作り方も今までのやり方ではダメだという事です。

レコード会社の人はそれをわかっているはずです。
ではなぜ大きな改革を行わないのか?
非常に疑問なことのひとつです。

このまま業界が倒れていくのを待つつもりなのか?
10年後 レコード業界は残っているでしょうか。