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レコーディングエンジニアの仕事ブログ

レコーディングの事、音楽の事、DAW.DTMの事など適当に書きます

Sound&Rcording Magazine 2016/2月号 32bit浮動小数点記事について

サウンドアンドレコーディングマガジン(以下サンレコ)の2016年2月号 企画の問題について

平沢進氏の表紙のサンレコ2016年2月号の特集記事
「理論と実践で学ぶ32ビット浮動小数点」を目にした方も多いことでしょう。
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「32bit浮動小数点って何? 「24bitとどれだけ違うの?」と思っていた人たちにはわかりやすく説明できている良い特集だと思うのですが
ひとつ気になる事がありましたので書かせていただきます。
95ページから始まる32ビット浮動小数点の説明、メリットなどの記事の後に

実践 32ビット浮動小数点で音は変わるのか?というコーナーが有り
峯岸良行氏と森元浩二氏で同じミックスデータで違いを検証する という趣旨の内容となっています。

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この24ビット、32ビットそれぞれの完成データがダウンロードできるようになっています。
音源はこちらからダウンロードできます

やはり24bitと32bit浮動小数点は大きく音が違うのか?

さて この企画のタイトル通り 音は変わるのか? という事が気になる読者も多いと思いますが
実際聞いてみましょう。

たしかに違うんです。

何が違うのかを一番簡単に調べる方法は 片方のオーディオファイルを位相反転して相殺し、残った音が"差"となるのですが・・・

位相反転して聞いてみました。

すると奇妙なことが起こります。

ドラム、ベース、ボーカルサンプルなど以外は全く消えません。 主なシンセやピアノ、グランカッサの音がはっきりと残るのです。

詳しく見てみると そもそもタイミングなどが違っているようなんですね。

タイミングが違うのであれば逆相をぶつけても消えないのは当たり前・・・なのですが・・・

この音のズレが何で起きているか? が かなり  問題なんです。

仮にProToolsHDX内の処理で32bitと24bitでこういったズレが起こるのであれば
大問題
なのですが・・・

原因が気になったのでもう一度よーく記事を読んでみると

102P「まず、トラック・メイカーであもある峯岸氏がAPPLE Logic Pro Xで楽曲を制作。マルチでファイルを32ビット浮動小数点と24ビットで書き出し、・・・・」

と あるのです。

32bit浮動小数点で書きだしたオーディオをProToolsで24ビットに変換して読み込むのではなく
Logicで2回書きだしたオーディオで検証した  という事なのですが
おそらくLogocのヒューマナイズ機能か別の何かが原因で書き出す際にいくつかのソフトシンセが違うタイミングで書きだしてしまっている という可能性が一番高い と判断しました。

Logicにはからヒューマナイズ機能というタイミング・ベロシティをある程度ランダムに揺らすという機能があり、それを有効にしてあるのではないか?という指摘をうけました。 それの可能性が高いかもしれません
このような
 毎回違うタイミングで(ベロシティーも少し違う)書き出されてしまう
という状態でトラックを制作した峯岸氏がこのLogicの機能を知らなかったという事になるのでしょうか?
又は知っていたうえで今回の手法で音質検証実験に臨んだという事なのでしょうか?


いずれにしても検証実験の手法としてはおおいに疑問が残ります。


今回のサンレコ誌企画の問題点

さて
何故こんな事を書くかというと
冒頭の 32ビット浮動小数点で音は変わるのか?というコーナーの趣旨が これだとタイミングとベロシティーが若干違う音を同じプラグインでミックスした音の聴き比べになってしまうので、正確な音質の検証にはならなくなってしまうのです。
違う音を聞いて 違うだの良いだと感想を書かれても 実に曖昧ですよね。

実際に両方に差は感じますが それが発音タイミングの違いによる聞こえ方の差なのか?単純に32ビット処理由来の差なのか?が不鮮明です。
ましてやベロシティーにも差がある可能性が残るとすると はっきり言って企画自体が台無しになってしまうほど大きなミステイクであると考えます。

せっかくいい企画できちんとした森元さんというベテランエンジニアを起用したのに 非常に残念ですね。

サンレコさん 今後の改善を希望します。



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追記
リットーミュージック サンレコ編集部に今回の件について検証をお願いする問い合わせをしたところ
以下の様なご返答をいただきましたので掲載します。

【●▲様

お問い合わせいただき、ありがとうございました。
ご指摘いただきました件につきまして検証いたしました。

1)峯岸氏がLogic Pro Xで制作した楽曲をトラック別に書き出したファイルにつきまして

峯岸氏に書き出したファイルの逆相差分検聴をお願いいたしましたが基本的にすべてのトラックについて、ご指摘いただいたようなMIDIからのオーディオ書き出しそのものによる差(タイミング、音量など)は見られませんでした。


ただし、プラグイン音源およびエフェクトのオシレーターおよびLFODAWのクロックとシンクしていないため、一部のトラックではモジュレーションのタイミングが異なることにより、個別に書き出した32ビット浮動小数点と24ビット固定小数点で、その違いの分だけ異なります。


編集部でも素材を確認しましたがDAW画面上、同位相であっても32ビット浮動小数点ファイルと
24ビット小数点の差分が認められるものが一部あり、これは上述した理由だと考えます。


2)森元氏によるAVID Pro Tools HDX上でのミックスにつきまして

森元氏によるAVID Pro Tools HDX上のミックスでも、モジュレーションを使用したエフェクト(ディレイ/リバーブなど)が使用されており、そのモジュレーション・タイミングの差は素材の書き出し時と同様に存在しています。


従いまして、32ビット浮動小数点で書き出したミックスと24ビット固定小数点で書き出したミックスではファイル・フォーマットの違い以外に、そのエフェクト分の差は存在しています。

ただし、取材につきましては何れのミックスも複数回再生して試聴しておりまして、その都度モジュレーションのタイミングは異なります。


その上でお二方にコメントをいただいておりますが、そのモジュレーションのタイミングに起因する違い(再生ごとでの印象の違い)はありませんでした。


3)企画全体につきまして

2月号特別企画内の「実践」では32ビット浮動小数点ファイルと24ビット固定ファイル、いずれをベースにするのかという
ワークフローの違いに着目しております。従って、再生ごとにタイミングの変わるモジュレーション系エフェクトを排除するといったことはせず、峯岸氏、森元氏に通常の制作の流れに従って、まず32ビット浮動小数点ベースで作業していただいた後、24ビット固定小数点ファイルにそのまま差し替えるという流れを採りました。


そこでトラック制作者、ミックス担当エンジニアが受けた印象からワークフローへの提言として記事をまとめていることは多くの読者の方々にご理解いただけたことと思います。

しかしながら、●▲様からご指摘いただきましたように、これが厳密に32ビット浮動小数点ファイルと24ビット固定小数点ファイルの音質を比較するという趣旨であるならば再生ごとにタイミングの変わるエフェクトは排除する、あるいはミックス前の素材の同一性を担保するために32ビット浮動小数点ファイルから24ビット固定小数点ファイルに変換するといったことが必要になるかと思います。


今後の記事制作の参考にさせていただきたいと考えております。

貴重なご意見ありがとうございました。】


以上
ソフトシンセのLFOモジュレーション系のエフェクトで差が生じている
という事ですが、実際聞いてもらうとわかりますがピアノやグランカッサ、ストリングス系まで丸々残る(絶対的な時間差がある)ので
発音タイミングは合ってるけど揺れ方が違うという説明には納得しかねるがものがありますが
まあ良しとしましょう。

私が気になったのは赤文字のところをです。
102Pの企画タイトルは
「32ビット浮動小数点で音は変わるのか?」
です。
それを 24ビットと32ビット どちらで作業したほうがいいかな?という事を重要視した と説明されているのが納得いきませんね。
そんなこと聞かれたら「32ビット浮動小数点に決まってる 実験なんかしなくていいよ」と誰でも思うでしょう・・・。

あえて音が変わるのか?という事を実践したはずなのに 音が変わる要素は省かなくてもOK とは・・。
なんとも言えませんが 今現在は読者もそれなりのDAW環境を持っているわけで あまり意味のない記事は逆に不信感や期待はずれの気持を生むだけかと考えます。


以上
サンレコ2016年2月の記事についての検証、見解でした。

おわり
 

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