レコーディングエンジニアの仕事ブログ

レコーディングの事、音楽の事、DAW.DTMの事など適当に書きます

マイクケーブルによる音の違い

一般的にマイクケーブルによる音の違いといういうものがあるとされています。
しかし厳密なブラインドテストを行っているケースは稀で 使用者の主観で語られる場合が殆どです。
音が変わる変わらないという議論は荒れますし収集が付かなくなるので、今回は私なりにこの問題に対して理解している内容を書こうと思います。

まずはっきりさせなくてはいけないのは音が変わるとしても
変わる のであって 良くなる のとは違うという事です。
音が変わる=音が良くなる と捉える人が多いようですが少し違うんですね。

そして音が変わるという差異に関してですがEQを使う方が明らかに音が変化します。
では何故マイクケーブルで音質を求めるのでしょうか?

1つはノイズの問題があります
レコーディングスタジオでは引き回しの回線も含めると数十メートルという長さのケーブルを通る事になるのでマイク信号という小さな信号に対して様々なノイズが乗る可能性があるのですが、これのリスクをなるべく低く抑えるのにブランド力のあるメーカーのケーブルを選択するというのがあると思われます。
モガミ、カナレあたりがものすごくノーマルなケーブルブランドです。


もう一つは付加価値
付加価値とは音以外での価値観です。例えば値段を先に言ってからケーブルを変えると実際以上に差異を感じたりするのは様々な実験で明らかなのですが、そういった付加価値、つまりちゃんとしたものをお金をかけて用意していますよ というお客さんに対してのアピールと言えなくもありません。
これが私の言う付加価値というものです。


じゃあ音の違いはどうなのか?というと実際には評価コメントにあるような明らかな差異を感じるのは難しいと言えます。
電気的に表皮効果とかインピーダンス変化による音の変化はあるはずなのですが、それが明らかな音の変化(まるで違うマイクを使ったかのような変化)になる事はまずありません。

新幹線で東京→大阪に移動する際に 大阪よりの先頭車両に乗ったほうが大阪に早く着くかと言われれば物理的には早く着きます。
しかしこれの差が大阪に早く着くか?と問われればそういう事にはならないと思います。

私の感覚ではマイクケーブルの音の差はこのような程度で、「変わるか変わらないか」と聞かれれば変わると思いますが、それに「値段相応の意味があるか」と問われれば音だけでは意味は無いと思います。

ですので無料でマイクに付いてくるケーブルは全然使い物にならないなんていう先入観は無いのです。